過敏性腸症候群の人におすすめの食事療法!FODMAP食事法と乳酸菌
もくじ
低FODMAP食事法
発酵性のある4つの糖質を避ける食事法を『低FODMAP(フォドマップ)食事法』と言います。
オーストラリアにあるモナッシュ大学の研究グループが発表した食事法です。
『FODMAP』という言葉は
- Fermentable(発酵性のある)
- Oligosaccharides(オリゴ糖)
- Disaccharides(二糖類)
- Monosaccharides(単糖類)
- And
- Polyols(ポリオール(糖アルコール))
からきています。
これらの発酵性のある糖質は、小腸で吸収されにくい性質を持っています。
小腸でFODMAPの濃度が高まると、腸のはたらきによって濃度を薄めようと腸内の水分を増やします。
その結果、腸内の水分が多くなりすぎてしまい下痢につながってしまいます。
また、小腸で吸収されなかった糖質はそのまま大腸へと送られ、お腹のハリや下痢、便秘といった原因を作り出す腸内細菌のエサとなってしまいます。
そういった問題を引き起こすFODMAP食品を避ける食事法のことを『低FODMAP食事法』と言います。
低FODMAP食事法のやり方
3週間すべての高FODMAP食品を避ける
この3週間で過敏性腸症候群の症状が軽くなるようであれば、低FODMAP食事法が適しているということになります。
この3週間は、高FODMAP/低FODMAPの中の『低FODMAP』の食品を摂るようにします。
1週間ずつ糖質ごとに高FODMAP食品を試して見る
1週間ごとに糖質を変え、合う糖質と合わない糖質を見極めていきます。
試している時は、他のNG食品は摂りません。(何が原因かをわかりやすくするため)
途中でお腹の症状があらわれた場合は、その高FODMAP食品を摂ることを中止します。
これを5週目まで行うことで、自分に合わない『高FODMAP食品』を知ることができ、今後IBSの症状が落ち着くまでその食品を摂らないことで、腹痛になる頻度を少なくすることができます。
1週目:小麦・玉ねぎ(フルクタン)
1週間毎日パンを食べる。
症状が出ないようなら、最後に玉ねぎを食べてみる。
お腹の調子が悪くなるようならフルクタンが合わないと判断。
2週目:豆類(ガラクトオリゴ糖)
1週間毎日豆類を食べる。
お腹の調子が悪くなるようならガラクトオリゴ糖が合わないと判断。
3週目:牛乳・ヨーグルト(乳糖)
牛乳またはヨーグルトを毎日食べる。
お腹の調子が悪くなるようなら乳糖が合わないと判断。
4週目:果物・はちみつ(果糖)
1週間毎日はちみつを食べる。(小さじ1杯ほど)
お腹の調子が悪くなるようなら果糖が合わないと判断。
5週目:果物・キノコ(ポリオール)
1週間毎日きのこを食べる。
お腹の調子が悪くなるようならポリオールが合わないと判断。
一目でわかる!高FODMAP/低FODMAP表!
主食系
NG!高FODMAP
小麦/大麦/ライ麦/パスタ/ラーメン/うどん/そうめん/とうもろこし/パン/ピザ/小麦が使われているお菓子/お好み焼き/シリアル/たこやき/
OK!低FODMAP
米/十割そば/玄米/タコス/コーンスターチ/ポップコーン/タピオカ/米粉/もち/もち米/きび/オートミール/オート麦/
野菜系
NG!高FODMAP
アスパラガス/にんにく/キムチ/玉ねぎ/納豆/ごぼう/カリフラワー/ゴーヤ/さつまいも/豆類/ねぎ/スナップえんどう/エシャロット/らっきょう/にら/セロリ/アーティチョーク/きのこ類/絹ごし豆腐/豆乳/
OK!低FODMAP
なす/にんじん/レタス/キャベツ/きゅうり/じゃがいも/ショウガ/オクラ/ほうれんそう/トマト/ブロッコリー(茎はNG)/ピーマン/たけのこ/もやし/チンゲン菜/白菜/カブ/かぼちゃ/ズッキーニ/パセリ/大根/オリーブ/枝豆/木綿豆腐/
くだもの系
NG!高FODMAP
りんご/すいか/すもも/桃/梨/グレープフルーツ/アボカド/マンゴー/柿/洋ナシ/さくらんぼ/いちじく/プルーン/あんず/ライチ/プラム/ざくろ/高FODMAPを含んだジャムやジュース/缶詰のフルーツ/ネクタリン/
OK!低FODMAP
バナナ/いちご/ぶどう/メロン/キウイフルーツ/オレンジ/ラズベリー/レモン/パパイヤ/パイナップル/ブルーベリー/ココナッツミルク/クランベリー/みかん/きんかん/ライム/ドラゴンフルーツ/パッションフルーツ/ココナッツ/
乳製品系
NG!高FODMAP
牛乳/生クリーム/ヨーグルト/アイスクリーム/プリン/ラッシー/ミルクチョコレート/クリームチーズ/プロセスチーズ/カッテージチーズ/リコッタチーズ/コンデンスミルク/カスタード/ブルーチーズ/ホエイチーズ/
OK!低FODMAP
バター/マーガリン/ブリーチーズ/カマンベールチーズ/チェダーチーズ/ゴーダチーズ/モッツァレラチーズ/パルメザンチーズ/
肉・卵・ナッツ・スパイス
NG!高FODMAP
わさび/ソーセージ/カシューナッツ/大量のアーモンド/大量のヘーゼルナッツ/ピスタチオ/
OK!低FODMAP
ベーコン/ハム/牛肉の赤身/鶏肉/ラム肉/七面鳥/魚介類/卵/少量のアーモンド/少量のヘーゼルナッツ/くるみ/ピーナッツ/栗/松の実/かぼちゃの種/ひまわりの種/ミント/バジル/チリパウダー/パプリカパウダー/唐辛子/カレー粉/ターメリック/シナモン/
飲み物系
NG!高FODMAP
ウーロン茶/濃いハーブティー/加糖のジュース/チャイ/カモミールティー/甘いお酒/はちみつ入りジュース/ラム酒/シェリー/エナジードリンク/
OK!低FODMAP
緑茶/紅茶/コーヒー/ココア/ビール/ウイスキー/ジン/ウオッカ/日本酒/水/
調味料系
NG!高FODMAP
トマトケチャップ/はちみつ/バーベキューソース/カレーソース/固形のスープの素/バルサミコ酢/オリゴ糖/ソルビトール、キシリトール/ブイヨン
OK!低FODMAP
マヨネーズ/オリーブオイル/メープルシロップ/しょうゆ/酢/トマトソース/マスタード/キャノーラ油/ココナッツオイル/マーマレード/オイスターソース/ウスターソース/味噌
IBSの人は『食物嫌悪』の可能性も
ただ、過敏性腸症候群の人の中にはFODMAP食品とはまったく関係なく、『食物嫌悪』で特定の食品が合わない人もいます。
食物嫌悪とは、その食品を食べた時のつらい経験によって、その後もその食品を摂れなくなることを言います。
たとえば、わたしは「コーヒー」と「エナジードリンク」が食物嫌悪の対象です。
この2つはカフェインが含まれているので、カフェインが原因では?と思われるかも知れませんが、同じくカフェインが多く含まれるチョコレートや紅茶ではまったく症状は出ません。
コーヒーとエナジードリンクは、一度飲んだあとにとてつもない腹痛に襲われたことがあるので、食物嫌悪状態にあります。
また、過敏性腸症候群の人は一般の人より腸の変化に敏感です。
そのため、気持ち的に食物嫌悪になりやすい状態にあります。
わたしはコーヒーもエナジードリンクも飲めなくなったところでとくに問題はないので放置していますが、本当は一度お腹を壊しても「そういうこともある」と軽く受け流すのが正解です。
その後も同じ食品を摂った後にお腹を壊すようであれば「本当に合わない食品」となりますが、1度お腹壊した程度であまり食事に対して過敏にならないことをおすすめします。
乳酸菌はやっぱり大事!
お腹の調子を整える成分といえばやっぱり乳酸菌です。
乳酸菌は身体に良い作用をもたらす微生物(善玉菌)「プロバイオティクス」とされています。
わたしたちの腸の中にいる細菌は種類ごとに分かれて住んでおり、その状態がまるで「お花畑」のようにみえることから『腸内フローラ』と呼ばれています。
腸内フローラには
- 善玉菌(わたしたちを守ってくれる)
- 悪玉菌(増えすぎると悪さをする)
- 日和見菌(状況によってどちらの味方もする)
の3つの菌が住んでいます。
腸内に善玉菌が増え、善玉菌の住みやすい酸性に傾くと、悪玉菌は住みにくくなります。
もちろん、悪玉菌をゼロにすればいい!という極端な話ではありません。
悪玉菌には悪玉菌にしかできないわたしたちの身体にとって大切な仕事「タンパク質の分解」があります。
腸内フローラのバランスは
- 善玉菌20%
- 悪玉菌10%
- 日和見菌70%
が理想だとされています。
しかし、最近の日本人の肉中心の食生活によって善玉菌が大幅に減ってしまっていることが多いです。
悪玉菌が増えると悪玉菌が作る大量の有害物質をはやく排出しようと、下痢になってしまうこともあります。
なので、過敏性腸症候群の人は善玉菌を増やすためにも乳酸菌を積極的に摂ることがすすめられています。
また、乳酸菌を摂っても腸内の細菌がとても多いのですぐには効果があらわれない上、摂った乳酸菌が腸に留まっていられる最長は2週間と言われているので、乳酸菌は継続して摂る必要があります。
乳酸菌がたくさん含まれている食品
- チーズ
- ヨーグルト
- 乳酸菌飲料
- 漬物
- キムチ
- みそ
- 日本酒
- 塩麹
- しょうゆ
乳酸菌はものによってはたらきが違う!
乳酸菌にはさまざまな種類があります。
しかし、どの乳酸菌が一番優れているということはありません。
大切なのは自分の腸内フローラにあった乳酸菌を摂取することです。
もちろん、自分に特別合った乳酸菌でなくとも腸内を酸性にし、悪玉菌の増殖を抑える効果はあるので腸内環境を良くしてくれることに変わりはありません。
ですが、できれば自分に合った乳酸菌を摂った方が乳酸菌の効果があらわれやすくなります。
2週間ごとに違う乳酸菌を摂取してみて、自分にあった乳酸菌を探すのも手です。
また、違う乳酸菌同士を一緒に摂ってもケンカになることはないので、面倒な人はサプリでもOKです。
乳酸菌とビフィズス菌の違い
乳酸菌は、酸素があっても大丈夫なので小腸に住み、乳酸を作り出す。
ビフィズス菌は、酸素があるところでは生きられないので大腸に住み、乳酸と酢酸を作り出す。
という違いがありますが、ビフィズス菌は乳酸菌の仲間とされることが多いです。
どちらの方が優れているということではありませんが、せっかく乳酸菌を摂るのならビフィズス菌入りの乳酸菌の方が良いということになります。
注意しておきたい!乳酸菌の摂取と低FODMAP食!
乳酸菌の摂取も低FODMAP食、どちらも過敏性腸症候群に有効な食事と言われていますが、乳酸菌の摂取と低FODMAP食事法2つを同時に行うのはかなり難しいです。
乳酸菌自体は、低FODMAPを推奨している人もオススメだと言っていますが、乳酸菌が含まれる食品は
- チーズ
- ヨーグルト
- キムチ
のような、高FODMAPの食品なのです。
また、乳酸菌をオススメしている本では乳酸菌を元気にする補助食品として
- オリゴ糖
- 豆類
- アスパラガス
- 玉ねぎ
- きのこ
- にんにく
といった高FODMAP食を積極的に摂るように、と書かれています。
しかし、これらも高FODMAP食品です。
にんにくや玉ねぎに至っては、低FODMAP食事法をするのなら絶対に避けるべき食品とされています。
なので、過敏性腸症候群の人が食事療法をするのであれば
- とりあえず乳酸菌関連を試してみる
- 低FODMAP食で自分に合わない食事が分かってから乳酸菌を摂れ入れる
- 乳酸菌サプリと併用する
のどれかを選ぶことをおすすめします。
乳酸菌サプリは自分の好きなものでいいと思いますが、一応わたしがいいなと思って摂っているものをIBSの人におすすめグッズとして紹介しているので、よければ参考にしてください。
少しずつ何でも食べられる身体を手にいれよう!
低FODMAP食事法で自分に合わない食品がわかれば、量を減らすことも、避けることもできます。
過敏性腸症候群の症状がひどい場合は、まずは自分に合わない糖質を見つけましょう。
もし、好きな食品でお腹の調子が悪くなってしまうという人もあまり悲観しないでください。
人間の身体は時間の経過とともに、変化していきます。
わたしは、ひどい過敏性腸症候群でしたが今は高FODMAP食品として絶対に避けるべきとされている「にんにく」や「玉ねぎ」もモリモリ食べられます。
食事療法で大切なのは「ダメと言われている食品を絶対に取らない!」という堅い意思ではなく、自分の身体の声に耳を傾け、柔軟に取り組んでいくことです。
食事療法に正解はありません。
今回紹介した食事法を参考に自分の身体に合う食事法を見つけてくださいね。
次の記事自分でできる認知行動療法4ステップで過敏性腸症候群を軽くしよう!
